アサヒビールは神

港区の一等地に住むことを憧れる若者。趣味はお酒、車、ゴルフ。お酒は飲まなくても別に生きられる。

今日の裁判例(セクハラ被害の泣き寝入りはやめましょう)

今日の裁判例はじめました。

一応仕組みを説明すると、ブログの記事をアップする日になされた判決(月日だけ同じで、例えば今回だったら昭和●年4月7日〜平成●年4月7日になされた判決ということです)を私が個人的関心を抱いた裁判例について若干紹介するというものです。

 

判例検索システムを利用すれば、それなり量の裁判例が検索できますが、一般の方でも調べられるように基本的には、裁判所のホームページで公開されているものから参考になりそうなものを選んでアップしていきたいと思います。

 

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1

裁判所のホームページですが、裁判例自体はこちらから誰でも検索できます。

 

第1回はセクハラに関するものです。

東京地裁平成17年4月7日判決です。

 

事案の概要

大学に留学で来ていた原告(以下「A」)が教授からセクハラを受けたとして、1200万円の支払いを求めた事案です。

セクハラの主な内容としては、懇親会の後に個別に飲みに誘われて、しぶしぶホテルのラウンジに飲みについていったところ、その際エスカレーターやエレベーター等において当該教授か卑猥な言動をされたり、キスや胸を触られるなどのセクハラを受けたというものです。

なお、大学はお●の水女子大学だそうですね。

 

結果

教授に対して、230万円を支払えという内容の判決が出ました。

 

Aの主張内容によると、教授からは「私は機能できないんだ、つまり男とし ての性機能が...。ただ、君の白い肌を見て、触りながら,一晩を君と過ごしたい、それだけ」などと言われたとのことです。

 

気持ち悪いですね。

 

その後、キスや胸を触られたりしたり、原告の指を自分の口に入れたり、原告のマンション入り口付近で胸を触るなどし、セーターを脱がそうとする行為などをしたそうで、原告がいとこが泊まっていると告げると帰ったそうですな。

 

これに対して被告は、セクハラに当たるような行為はしていない
原告が胸を触られたなどとした一連の行為について、性行為を望むことをほのめかすような発言や、キス、胸を触るなどしたことはない

 

裁判所の判断について

 

教授が①エスカレーター内でAの肩に手を置いた、②ホテルのラウンジにおいて、酒を飲みながら、Aと性的関係を望んでいるような発言をした、③下りエレベーター内でAの肩に触った、④Aにキスをした、⑤Aの胸を触った、⑥車中でAの体に触り、Aの指を自分の口に入れたりした、⑦マンション入り口付近で原告に抱きつき、胸を触ったなどと認定(詳細は原文を当たった方が正確です)

 

セクハラのような場合、防犯カメラでバチっと取れていれば話は別なので、ほとんどの場合、防犯カメラの保存期間は過ぎていて客観的な証拠がない中でこれだけのセクハラ行為が認定されたのはなかなか稀な例かと思います。

裁判所は、教授が自分な不利な内容を認めているところと、認めていないところ、原告の供述、そして供述内容の自然性等を検討し、教授はセクハラをしていないと主張していますが、これだけセクハラ行為を認定しており、これは証人尋問で嘘が突き通せなかったのを裁判所が客観的に事実認定をしたのだと思います。

 

例えば、セクハラ行為はしたことはないと供述する一方で、Aが積極的でないにもかかわらず教授自身が繰り返し誘ってパレスホテルにいったことを認めていることや、原告を誘ったことについて、「私と学生、教師と 学生というよりは、私が男であり、原告が女である...男と女の関係といわれれば、それはそうでしょうね」などと、Aを学生として親睦を深めるつもりで 誘ったというより、Aを女性としてつきあわせるつもりで誘ったことを認め る供述をしているようです。

 

下りエレベーターでAに支えられただけとするものの、Aとの身体的接触を認めていること、タクシーから降りた後,Aのマンション近くで、原告に励ましのつもりで軽く体を抱きしめただけとするものの、原告との身体的接触を認めており、程度の差等 はあるものの、原告の供述する場所において身体的接触があったことを認めるものであり、原告のマンション近くで原告を抱きしめたとする点については、程度として軽くとしているものの,少なくとも,原告の望まない身体的接触のあったことが認められるも のである。

 

以上の通りで、これはAの性的自由ないし人格権を侵害するものであるから,不法行為に当たることは明らかである。

 

ただし、原告は損害として、①転居費用、家賃、ホテル利用料等300万円、②PTSDに罹患したことから発生した精神的及び身体的症状に対する治療費、③慰謝料として500万円(1000万円の一部を請求)④弁護士費用 200万円等を請求しましたが、

 

①については、300万円は証拠上認めるに足りる証拠はないとして、認められませんでした。

 

②また、PTSDの診断書の作成時期や、その経過に照らしてこちらの治療費も請求は認められなかったようです。

 

③教授ののセクハラ行為の態様・程度、これによりAが多大な精神的苦痛を被ったことが明らかであること等を総合考慮して慰謝料200万円を認めました。

なお、弁護士費用として30万円も損害として認めています。

まとめ

セクハラは、訴えを起こしたとしても証拠不十分で請求が認められにくい類型の一つです。

 

ただし、この東京地裁の事案のように、証人尋問等により例えセクハラを否定していたとしても、裁判所はきちんと判断をしてくれます。

 

泣き寝入りはやめて、セクハラを裏付けるような証拠を少しでもきちんと残しておくことが大事ということがよく分かる裁判例でした。